Okamoto Ladies' Clinic

産婦人科Q&A



【1.】膣、外陰部の異常
Q.1  正常なおりものとは?
Q.2  おりものが多い。
Q.3  外陰部や膣入口部がかゆい。
Q.4  外陰部が痛い。
Q.5  片方の外陰部が腫れている。
Q.6  外陰部に小さないぼができた。
【2.】生理(月経)の異常
Q.1  順調だった生理が遅れている。
Q.2  生理不順だ。
Q.3  生理が来ない。(無月経)
Q.4  生理の量が多い、期間が長い。(過多月経、過長月経)
Q.5  生理の量が少ない、期間が短い。(過少月経、過短月経)
Q.6  生理痛がひどい。
Q.7  生理前になると体調が悪い。
【3.】不正性器出血
Q.1  生理以外の出血がある。

【4.】下腹部痛、腰痛、下腹部膨満感
Q.1  おなかの下の方が痛い。
Q.2  下腹部が張っている、出ている。
【5.】排尿障害
Q.1  排尿するとき痛い、尿の回数が多くなる、排尿後も尿が残った感じ、下腹部が痛い、尿に血がまじる。
Q.2  尿を漏らしそうになる、漏れる。
【6.】子宮脱、子宮下垂
Q.1  膣の入口から丸いものが出る。

【7.】性交異常
Q.1  セックスをすると出血する。
Q.2  セックスのときに下腹部に痛みがある。
Q.3  セックスすると膣がとても痛い。
【8.】乳房異常
Q.1  妊娠中でも産後でもないのに、乳汁が出る。
Q.2  乳首の先が引っ込んでいて出ていない。
Q.3  乳首や乳輪部がかゆい、じくじくする。
Q.4  乳房にしこりがある、痛い。
【9.】思春期相談
Q.1  思春期とは?
Q.2  二次性徴が起こる平均年齢は?
Q.3  初潮は何歳まで待てばいい?
Q.4  思春期の無月経の特徴は?
Q.5  思春期に不正出血があったり、月経が止まらなかったりするのは?
Q.6  思春期の生理痛は?
【10.】更年期障害
Q.1  更年期障害とはどんな状態?
Q.2  更年期障害の診断は?
Q.3  更年期障害の治療は?
【11.】性病検査希望
Q.1  性病とは?
Q.2  梅毒とは?
Q.3  淋病とは?
Q.4  性器クラミジア感染症とは?
Q.5  性器ヘルペス感染症とは?
Q.6  尖圭コンジローマとは?
【12.】子宮癌検診希望
Q.1  子宮癌検診とは?
Q.2  子宮頸癌検診の結果について。
Q.3  子宮体癌検診の結果について。
Q.4  子宮頸癌の精密検査とは?
Q.5  子宮体癌の精密検査とは?
Q.6  子宮癌の治療は?
【13.】子宮筋腫
Q.1  子宮筋腫とは?
Q.2  子宮筋腫の症状は?
Q.3  治療が必要な子宮筋腫は?
Q.4  子宮筋腫の検査は?
Q.5  子宮筋腫の治療は?
【14.】子宮腺筋症
Q.1  子宮腺筋症とは?
Q.2  子宮腺筋症の診断は?
Q.3  子宮腺筋症の症状、治療法は?子宮筋腫との違いは?
【15.】子宮内膜症
Q.1  子宮内膜症とは?
Q.2  子宮内膜症の症状は?
Q.3  子宮内膜症の診断は?
Q.4  子宮内膜症の治療は?
Q.5  月経痛がひどければ子宮内膜症か?
【16.】卵巣腫瘍(嚢腫)
Q.1  卵巣腫瘍とは?
Q.2  卵巣腫瘍の症状は?
Q.3  卵巣腫瘍の診断は?
Q.4  良性卵巣腫瘍(卵巣嚢腫)の治療は?
Q.5  卵巣癌(悪性卵巣腫瘍)、境界悪性卵巣腫瘍の治療は?
【17.】不妊症
Q.1  妊娠したいが、なかなかできない。
Q.2  不妊症の検査は?
Q.3  不妊症の治療は?
【18.】避妊法
Q.1  避妊方法について。
Q.2  経口避妊薬(ピル、OC)とは?
Q.3  子宮内避妊器具(IUD)とは?
Q.4  緊急避妊ピルとは?
【19.】人工妊娠中絶手術
Q.1  人工妊娠中絶手術について。

【20.】妊娠初期の異常
Q.1  妊娠の診断はいつできる?
Q.2  つわりについて。
Q.3  妊娠初期の下腹部痛について。
Q.4  妊娠初期の不正出血について。
Q.5  妊娠中のセックスについて。
Q.6  子宮外妊娠・頸管妊娠とは?
Q.7  胞状奇胎とは?
Q.8  妊娠中のお薬について。
Q.9  妊娠中の放射線検査について。
【21.】妊娠中期・後期の異常
Q.1  妊娠中の便秘について。
Q.2  妊娠中の痔について。
Q.3  妊娠中のかぜについて。
Q.4  妊娠中の胃もたれ、むねやけ、げっぷについて。
Q.5  妊娠中のどうき、いきぎれ、立ちくらみについて。
Q.6  妊娠中の腰痛、恥骨痛、足のつけ根の痛みについて。
Q.7  妊娠中の手のしびれ、足のけいれんについて。
Q.8  妊娠中期・後期の不正出血について。
Q.9  妊娠中期・後期のお腹の張り、痛みについて。
Q.10 頸管無力症について。
Q.11 早産・切迫早産について。
Q.12 妊娠中に尿糖が出る、血糖値が高い。
Q.13 妊娠中毒症について。
Q.14 常位胎盤早期剥離について。
Q.15 前置胎盤について。
Q.16 羊水過多症・羊水過少症について。
【22.】産褥期(産後)の異常
Q.1  産後いつまでも悪露が多いときは?
Q.2  お産後に発熱したときは?
Q.3  産褥熱とは?
Q.4  おっぱいが腫れて痛い、赤い、熱がある。
Q.5  おっぱいの分泌が悪い。
Q.6  お産後ゆううつだ。
Q.7  お産後の生理はいつ始まる?




【1.】膣、外陰部の異常

A.1 正常なおりものとは?

回答

色は白色〜無色透明で、無臭か甘酸っぱい感じのおりもので、量もそれほど多くなければ、一般的には問題ありません。腟の中には病原菌の感染を防いでいる常在菌のデーデルライン桿菌(乳酸菌の仲間)がいるので甘酸っぱい感じの臭いがすることがあります。

月経直後はおりものが少なく、排卵前になると無色透明な粘液(頸管粘液)のため、おりものが増えたように感じます。

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A.2 おりものが多い。
回答

白いさけかす状、チーズ状のかたまったおりものが出る場合は、カンジダ膣炎が疑われます。外陰カンジダ症になるとかゆみ、痛みが出ます。カンジダは真菌の一種で、膣の常在菌です。抗生物質の服用後、妊娠中、糖尿病患者さん、身体の疲れや病気などで免疫力が低下しているときなどに異常増殖して、おりもの、かゆみを引き起こします。

黄色くて、泡立ったようなおりものがあったり、時々出血したりする、膣の中がかゆい場合は、トリコモナス膣炎が疑われます。トリコモナスは原虫の仲間で、性行為で感染するので、パートナーも検査、治療する必要があります。

黄色い膿(うみ)のようなおりものが出て、変なにおいがする場合は、細菌性膣炎が疑われます。出血を伴ったり、かゆみがでたりすることもあります。大腸菌、腸球菌、ブドウ球菌、溶連菌などの病原菌が膣内で増殖すると、血液中から白血球が膣内に集まってきて、病原菌と戦います。戦いの結果、膿ができ、おりものが増えたり、変なにおいがしたりします。外陰部に広がるとかゆみを起こします。

また、性行為感染症のクラミジア頸管炎淋病でも、おりものが増えるときがあります。

閉経後に黄色やピンク色(出血)のおりものが増えたり、性交痛があったりする場合は、卵胞ホルモン(エストロゲン)が欠乏して起こる萎縮性膣炎が考えられます。

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A.3 外陰部や膣入口部がかゆい。
回答

おりものがあってかゆみもある場合は、カンジダ膣外陰炎、トリコモナス膣炎、細菌性膣外陰炎が考えられます。

かゆみだけの場合でも、おりものが多いと感じなくて膣炎を起こしているときがあり、そのためにかゆみが起こっているということはよくあります。

膣炎が認められずに、外陰部の皮膚炎だけを起こしている場合は、真菌性のもの、細菌性のもの接触性皮膚炎などがあります。

また、時々塗り薬を長期間使いすぎて、かえって外陰部の皮膚の状態を悪化させてしまう場合もあります。

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A.4 外陰部が痛い。
回答

A3.で述べたような外陰炎でかゆみとともに痛みが出ることがあります。

主に性行為で感染する性器ヘルペスの初発は激しい痛みを伴う外陰部の多発水疱と潰瘍を認めます。足の付け根(鼡径部)のリンパ節が腫れたり、発熱などの全身症状が起こることもあります。再発の場合は、初発ほど痛みが強くない場合が多いです。

外陰ベーチェット病という病気、梅毒外陰癌(まれ)その他を考慮する場合もあります。

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A.5 片方の外陰部が腫れている。
回答

膣入口部にあるバルトリン腺の出口が詰まってしまうと粘液が貯留して嚢胞を形成します。感染を起こすと膿(うみ)が形成され、腫れと痛みが強くなります。バルトリン腺膿瘍は切開排膿や、再発を繰り返す場合は嚢胞摘出術が必要になります。

その他に外陰部には脂肪腫、線維腫などの良性腫瘍もよくできます。

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A.6 外陰部に小さないぼができた。
回答

ヒトパピローマウイルスの感染症である尖圭コンジローマが考えられます。潜伏期間は約3ヶ月で、性行為感染症の一つです。組織診断や核酸増幅試験をした後、治療します。
治療には外科的切除とコンジローマ治療薬の塗布があります。

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【2.】生理(月経)の異常
A.1 順調だった生理が遅れている。
回答

まず、妊娠の有無を調べます。最近の妊娠診断キットは感度が良いので、妊娠3週終わり(予定月経が来る前)に陽性になります。経膣超音波検査で子宮内に胎嚢(赤ちゃんが入る袋)が認められるのは妊娠4週です。妊娠5週の終わりか6週初めには赤ちゃんの心拍が見えます。

妊娠2週0日が排卵日です。

妊娠でない場合は、排卵が遅れている場合と無排卵の場合があります。基礎体温をつけたり、ホルモンの検査をします。必要な場合は治療をします。

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A.2 生理不順だ。
回答

まず妊娠していないかどうかを確認します。

月経周期は25〜38日周期の範囲内であれば、まずまず順調と言えます。月経不順の場合は、排卵性周期無排卵周期があります。

排卵している場合は、月経から排卵まで(卵胞期、低温相)と排卵後つぎの月経まで(黄体期、高温相)の日数の和が月経周期になるので、その期間を基礎体温で調べてみます。LH、FSH、プロラクチン、エストロゲン、プロゲステロンその他のホルモン検査も行います。排卵を認めても、不妊の場合は治療の対象になることがあります。

無排卵の場合は、基礎体温で低温1相性になるので、ホルモン検査を施行したり、必要な場合は治療をします。

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A.3 生理が来ない。(無月経)
回答

18歳になっても、初潮を認めない場合、原発性無月経と言います。以前はあった月経が、3ヶ月以上来ない場合、続発性無月経と言います。

原発性無月経はまれで、治療する前に、ホルモン検査、染色体検査、性器の閉鎖(子宮頸管、膣、処女膜など)が無いかを診ます。その後、ホルモン負荷試験をします。

続発性無月経は色々な原因で起こります。専門的に言いますと、視床下部性、下垂体性、卵巣性、子宮性などに分類されます。比較的多い原因として、精神安定薬その他のお薬による高プロラクチン血症、ストレスによるもの、体重減少性のもの、下垂体腫瘍、早発卵巣機能不全、多嚢胞性卵巣症候群があります。血清LH、FSH、プロラクチン、TSH、エストラジオール、プロゲステロン、テストステロンなどのホルモン検査をして、その病態に合った治療が必要です。

黄体ホルモン(プロゲステロン)投与で生理(消退性出血)があれば、第1度無月経と言います。卵胞ホルモン(エストロゲン)+黄体ホルモン(プロゲステロン)で生理があれば、第2度無月経と言います。それでも生理が来ない場合は子宮性無月経です。

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A.4 生理の量が多い、期間が長い。(過多月経、過長月経)
回答

子宮筋腫、特に子宮の内側にとびでる粘膜下筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖症、IUD(避妊器具)などの器質的原因がある場合と無排卵周期などの機能的な原因によって起こる場合とがあります。子宮頸部、体部の癌検診が必要です。

治療は器質的疾患がある場合はその治療を行います。

機能性原因のときは、短期的には止血剤投与、ホルモン療法、子宮内膜掻爬術などを行います。周期的に繰り返す場合は、Kaufmann療法(エストロゲンとプロゲステロンを用いた周期的投与)やその他のホルモン療法、排卵誘発などを行います。

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A.5 生理の量が少ない、期間が短い。(過少月経、過短月経)
回答

器質的原因(子宮内癒着、子宮内膜炎、子宮発育不全など)がある場合はその疾患の治療を行います。機能性のもので、排卵していて月経痛や月経血のうったいがない場合は特に治療せず経過をみます。

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A.6 生理痛がひどい。
回答

子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、骨盤内癒着などの器質性月経困難症と機能性月経困難症が考えられます。

器質的原因がある場合はその疾患の治療が原則ですが、機能性月経困難症と同様に薬物療法を行うことがあります。

まず、鎮痛剤を使う事が多いですが、人によっては漢方療法がよく効くことがあります。無排卵性月経のときは月経痛が軽くなる事が多いので、経口避妊薬(ピル)を使う場合もあります。偽閉経療法をして月経を止めてしまうこともありますが、治療をやめるとまた症状がでることが多いです。

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A.7 生理前になると体調が悪い。
回答

月経前3〜10日間に精神的、身体的症状がでる月経前症候群が考えられます。40歳から更年期にかけて多く認められます。いらいら、ゆううつ、のぼせ、下腹部が張った感じ、下腹部痛、腰痛、頭痛、乳房が張って痛いなどの症状があります。治療としては、排卵抑制、漢方療法、向精神薬などの他に利尿剤が効果的な場合があります。

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【3.】不正性器出血
A.1 生理以外の出血がある。
回答

最も多いのは卵巣の周期の乱れによるものでしょう。疲れやストレスはありませんか。こういう機能性出血は、止血剤、ホルモン剤を使うことにより止血する場合がほとんどです。

器質的原因としては、膣炎、子宮の入口のびらん子宮頸管ポリープ、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ(子宮の中のポリープ)、子宮頸癌、子宮体癌などが考えられます。子宮癌検診は必ず受けましょう。

妊娠に関係した出血、すなわち切迫流産、流産、子宮外妊娠、胞状奇胎などによる出血も考えなくてはいけません。尿の妊娠反応や超音波断層検査をします。

更年期の不正出血も考えられます。ホルモン検査で更年期のホルモン状態かどうか調べてみます。

閉経後の出血では、卵胞ホルモン(エストロゲン)が欠乏して起こる萎縮性膣炎が多いです。

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【4.】下腹部痛、腰痛、下腹部膨満感
A.1 おなかの下の方が痛い。
回答

無月経でないか、月経周期のいつに痛むか、発熱はないか、腹部の張った感じはないか、不正出血はないか、下腹部のどこが痛むかなどが重要です。もちろん、婦人科の病気以外で下腹部痛が起こっているのかも知れません。

まず、妊娠によるもの、流産、早産、子宮外妊娠などではないかを考えます。

炎症性のものとして、子宮や卵管の炎症を含む骨盤内感染症とそれによる骨盤内癒着があります。膀胱炎、腎盂腎炎などの尿路感染症、虫垂炎(盲腸)も考えられます。

腫瘤性のものとして、子宮癌、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、卵巣嚢腫や卵巣癌、特に茎捻転が考えられます。

その他に、月経困難症、月経前症候群、便秘、腸閉塞、尿路結石、後腹膜腫瘍、脊椎疾患なども考えられます。

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A.2 下腹部が張っている、出ている。
回答

妊娠して子宮が大きくなっていないでしょうか。

子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣腫瘍、後腹膜腫瘍、消化器系の腫瘤、腹水などが認められないかを調べてみます。

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【5.】排尿障害
A.1 排尿するとき痛い、尿の回数が多くなる、排尿後も尿が残った感じ、下腹部が痛い、尿に血がまじる。
回答

膀胱炎の症状です。原因になる菌の80%は大腸菌です。抗生物質の服用で治ります。水分をたくさんとって、排尿を我慢しない、下腹部を冷やさないようにしてください。

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A.2 尿を漏らしそうになる、漏れる。
回答

膀胱炎でないのに何回もトイレに行きたくなる、特に夜に尿がちかくなる、尿を漏らしそうになったり実際に漏らしてしまうのは切迫性尿失禁の症状です。尿失禁や頻尿の神経因性膀胱治療薬を服用してみてはいかがでしょう。精神安定剤も効果的な場合があります。

腹圧性尿失禁はお産の経験がある年輩の人に多いのですが、子宮や膀胱を支える靱帯や筋肉がゆるんで、くしゃみや咳、ジャンプ、前屈み、階段の昇り降りの際に尿が漏れます。軽い尿失禁なら骨盤底筋肉の体操や内服薬で軽くなりますので、泌尿器科か産婦人科で相談して下さい。それで直らないときには、支持組織の弛緩を修復、再建する手術や、子宮が下がっている場合、膣から子宮を摘出して同ときに前後の膣壁を強化する手術をします。

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【6.】子宮脱、子宮下垂
A.1 膣の入口から丸いものが出る。
回答

子宮脱、子宮下垂(膣脱)が考えられます。排尿、排便時や入浴時に、膣の入口に丸いもの(子宮)を触れて気がつくことが多いです。膣や子宮の乾燥、出血、おりもの、排尿障害、排便障害などが認められます。

治療は、リング状のペッサリーという器具を膣内に入れて子宮が下がるのを防ぐ方法、膣式単純子宮全摘手術+前後膣壁形成術、膣閉鎖術などの手術療法があります。

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【7.】性交異常
A.1 セックスをすると出血する。
回答

性交の際に、腟の入口の処女膜や膣壁が切れて出血することがあります。一番多いのは、子宮の入口の子宮膣部びらんや子宮頸管ポリープからの出血です。不正出血の項目を参考にしてください。

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A.2 セックスのときに下腹部に痛みがある。
回答

子宮内膜症、骨盤内感染症、子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣腫瘍などが考えられます。

内診して、性交のときに当たったり、押されたりする部分が痛いかどうか、しこりや癒着が認められるかどうかなどを診ます。

超音波断層検査で、子宮や卵巣が腫れていないか検査します。

クラミジア検査、培養検査、血液検査などで感染、炎症所見がないかどうかも調べます。

原因がわかれば、その治療をしましょう。

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A.3 セックスすると膣がとても痛い。
回答

性行為に対する罪悪感、処女膜に問題がある場合、外陰炎、膣炎などの感染による炎症がある場合、分娩時の会陰膣の切開・裂傷の痛み、分泌液(潤滑油の役割)が不十分な場合、閉経後の萎縮性膣炎などなどが考えられます。ゆっくりと改善するように考えていきましょう。

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【8.】乳房異常
A.1 妊娠中でも産後でもないのに、乳汁が出る。
回答

高プロラクチン血症と言って、脳下垂体から出ているプロラクチンというホルモンの値が高い場合が多いです。運動、ストレスでもプロラクチンは上昇しますし、高プロラクチン血症を起こすお薬を飲んでいるとき、下垂体腫瘍、他にも色々な原因が考えられます。

乳汁漏出以外に、月経異常、不妊が主要な症状です。原因がわかった場合には、その治療をします。

機能性のものには、ドーパミン作動薬を使います。

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A.2 乳首の先が引っ込んでいて出ていない。
回答

陥没乳頭です。軽度なものは、陥没した乳頭を吸引したり、用手的に引っ張り出したりする方法があります。高度な場合には手術適応になる場合があります。

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A.3 乳首や乳輪部がかゆい、じくじくする。
回答

乳首や乳輪部に細菌感染・炎症を起こし、かさかさ、じくじくした状態になったときには、ステロイドや抗生物質の塗り薬か抗生物質の内服が効果的です。

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A.4 乳房にしこりがある、痛い。
回答

思春期に胸が大きくなり始める時期にしこりや痛みがでることがあります。両側とも同じような状態で、痛みも強くなければ、問題ない場合が多いですが、心配ならば外科(乳腺外科)を受診しましょう。

性成熟期以降であれば、乳腺症、乳腺炎、乳癌、乳腺腺腫、乳腺線維腫という病気が考えられます。

乳腺症は、ホルモンの影響による乳腺および線維組織の増殖性病変です。月経前の黄体期に痛みやしこりを感じ、月経が来ると軽快することが多いです。

乳腺炎は痛みのほか、いわゆる炎症所見である発熱、発赤、腫脹が認められます。産後起こることがほとんどですが、妊娠に関係ない場合も起こり得ます。

乳癌は、乳房にしこりを感じて気がつくことが多いです。進行した場合以外は痛みを感じることは少ないと言えます。乳房にしこりや痛みを認めたら、触診だけでなく、マンモグラフィーや超音波断層検査、細胞診、組織診を受けます。これらの検査そして治療は一般的に産婦人科ではなく、外科(乳腺外科)で行います。

産婦人科に来られた場合は、触診、超音波断層検査をして、必要があれば外科に紹介いたします。

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【9.】思春期相談
A.1 思春期とは?
回答

乳房が大きくなったり、陰毛が生えてきたりする二次性徴が始まり、初潮を経験し、二次性徴と月経周期がほぼ順調になるまでの期間を言い、女子は8〜9歳頃から17〜18歳頃までを言います。(男子は11〜12歳頃から18〜19歳頃までです。)子供から大人への移行期であり、身体的、精神的、社会的に激しく変化する時期であり、適応障害を起こしやすい時期です。

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A.2 二次性徴が起こる平均年齢は?
回答

乳房発達は10歳前後、陰毛は11歳前後、初潮は平均12.5歳頃ですが、個人差があります。

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A.3 初潮は何歳まで待てばいい?
回答

15歳以降に初潮を認める場合を遅発月経、18歳になっても初潮を認めない場合を原発性無月経といいます。15歳が一つの目安になるのではないでしょうか。年齢に関わりなく、体重40〜42kg、身長146cmで初潮を迎えるという報告もあります。

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A.4 思春期の無月経の特徴は?
回答

初潮後、排卵を伴う周期になるまで1〜3年を要します。その間は、月経不順であっても、特に治療せず経過を観ることがよくあります。

激しいスポーツ、ストレス、急激な体重減少によって起こる視床下部性の月経が多いのも特徴です。

3ヶ月以上月経がなければ、一度産婦人科受診されてはいかがでしょうか。

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A.5 思春期に不正出血があったり、月経が止まらなかったりするのは?
回答

初潮から排卵周期が確立するまでは、無月経、月経不順の他に不正出血を繰り返す、月経が長く続くことが多く認められます。ホルモン療法でコントロールする場合があります。

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A.6 思春期の生理痛は?
回答

器質的異常を認めない機能性のものが多いです。月経時の強烈な子宮収縮によるものと考えられています。内診が嫌な場合は、問診とお腹から観察する超音波検査、必要ならば血液検査を受けてみてはどうでしょう。

鎮痛剤、ホルモン療法、漢方薬などの治療が考えられます。

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【10.】更年期障害
A.1 更年期障害とはどんな状態?
回答

閉経の平均年齢は50歳です。閉経期とその前後に起こる卵胞ホルモン(エストロゲン)の低下が原因で、様々な精神的、肉体的症状が出ることがあります。これを更年期障害と呼びます。顔のほてり、のぼせ、異常発汗、不眠、いらいら、ゆううつ、どうき、めまい、頭痛、かたこりなどの症状が多く認められます。

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A.2 更年期障害の診断は?
回答

ホルモン検査で、エストロゲンの低下、卵巣に働きなさいというホルモンであるLH、FSHの上昇が認められます。また、更年期スコアや簡略更年期指数などのテストもあります。全身倦怠が強い場合は、貧血の検査、肝機能、総コレステロール、中性脂肪、血糖などの生化学検査も受けた方が良いでしょう。

ホルモン補充療法がよく効けば、「やっぱり更年期障害でしたね。」とも言えます。

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A.3 更年期障害の治療は?
回答

エストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)のホルモン補充療法がその主体となります。他に漢方治療(当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸など)、抗不安薬などを用いることもあります。

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【11.】性病検査希望
A.1 性病とは?
回答

性行為により感染する性行為感染症(STD)の原因微生物は80種類以上になると言われています。その中で、代表的なものは、梅毒、淋病、性器クラミジア、性器ヘルペス、尖圭コンジローマなどです。他にもエイズやB型肝炎、トリコモナス、ケジラミなども性行為で感染することがあります。

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A.2 梅毒とは?
回答

スピロヘータの一種である梅毒トレポネーマの感染により発症します。性行為により性器から性器へ、オーラルセックスにより性器からのどへ感染し、全身に感染が及びます。

第1期梅毒:まず感染場所の皮膚粘膜に硬いしこりができたり、足の付け根のリンパ節が腫れたりします。

第2期梅毒:感染後3ヶ月治療しないと、皮膚粘膜にバラ疹ができます。

第3期梅毒:3年以上放置すると、ゴム腫が出現し、心臓、血管、神経症状が出現します。

診断は、血液検査で梅毒ガラス板法、TPHA法を調べることが一般的です。

治療は、ペニシリン系などの抗生物質です。

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A.3 淋病とは?
回答

淋菌がほとんどの場合性行為、オーラルセックスで、性器やのどに感染します。

症状は、男性の場合は尿道炎を起こし排尿痛を訴えますが、女性の場合は子宮頸管炎を起こしても無症状のことが多いのです。しかし、子宮、卵管を通って骨盤内に感染が広がると、強い下腹部痛を起こすことがあります。

診断は子宮頸管分泌物を検体とする淋菌PCRが有効です。

治療は、淋菌感受性のある抗生物質になります。

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A.4 性器クラミジア感染症とは?
回答

現在非常に蔓延している性病です。

クラミジア・トラコマティスが性行為、オーラルセックスで、性器やのどに感染します。初期感染しても、淋菌同様にあるいはそれ以上に症状が現れにくいために気づかずにいると、骨盤内、腹腔内に広がり下腹部痛や不妊症の原因になります。肝臓周囲にまで炎症が広がり、上腹部痛が生じることもあります。

診断は、子宮頸管内か膣内の分泌物でクラミジアPCRという検査を行います。血液検査(抗体検査)は感染の既往があれば陽性にでるので、治療の判定には応用できません。

クラミジアに感受性のある抗生物質で治療します。

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A.5 性器ヘルペス感染症とは?
回答

単純ヘルペスウイルス1型、2型が性器に感染して起こります。1型は目、口、脳などの上半身に、2型は性器に感染するといわれてきましたが、必ずしも決まっていません。

症状は、感染後1週間程度で外陰部に水疱、潰瘍がふつう多発性にでき、強い痛み、しみる感じがします。再発のときは、初発より症状が軽いことが多いです。

診断は、単純ヘルペス特異抗原を調べます。

治療は抗ヘルペス剤(内服、塗り薬など)を用います。これらのお薬は効果的ですが、根治薬ではないのでしばしば再発します。

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A.6 尖圭コンジローマとは?
回答

ヒトパピローマウイルスの感染により、外陰部、会陰部、膣、子宮の入口などに小さないぼができる病気です。

確定診断は、いぼの病理組織診断ですが、最近は核酸増幅診断も可能になりました。

治療には外科的切除とコンジローマ治療薬の塗布があります。

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【12.】子宮癌検診希望
A.1 子宮癌検診とは?
回答

子宮癌は、子宮頸部(子宮の入口)にできる子宮頸癌と子宮体部(子宮の中)にできる子宮体癌(子宮内膜癌)とがあります。日本では、子宮頸癌の方が多いですが、子宮体癌が増加する傾向にあります。

一般に子宮癌検診といわれているのは、子宮頸癌検診(子宮入口の検査)です。不正出血などの症状があればもちろんのこと、特に症状が無くても、年に1回程度の検査が推奨されています。

子宮頸部には異常がないのに不正出血がある場合には、子宮体癌検診(子宮の中の検査)を行います。特に閉経した後に萎縮性膣炎以外の不正出血があった場合は、この検査を受けるべきでしょう。

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A.2 子宮頸癌検診の結果について。
回答

子宮頸部細胞診はベセスダシステムにより判定されます。

<異常なし>

 1)陰性(NILM)

<扁平上皮系異常>

 2)ASC-US (意義不明な異型扁平上皮細胞)
 3)ASC-H (HSILを除外できない異型扁平上皮細胞)
 4)LSIL (軽度扁平上皮内病変)
 5)HSIL (高度扁平上皮内病変)
 6)SCC (扁平上皮癌)

<腺系異常>

 7)AGC (異型腺細胞)
 8)AIS (上皮内腺癌)
 9)Adenocarcinoma (腺癌)
10)Other malig. (その他の悪性腫瘍)
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A.3 子宮体癌検診の結果について。
回答

子宮内膜細胞診結果には陰性、疑陽性、陽性の三段階あります。

陰性の5%、疑陽性の10%、陽性の80%に子宮体癌が発見されるという報告があります。疑陽性、陽性が精密検査の対象になりますが、陰性の場合でも不正出血が続くときは精密検査した方が良いでしょう。

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A.4 子宮頸癌の精密検査とは?
回答

拡大鏡で子宮頸部を観察するコルポスコピーという検査を行い、異常所見が認められる部位をねらって組織を採取し組織診断します。

子宮頸部を円錐形に切除し、細かく分けて組織診断することもあります。これを子宮頸部の円錐切除術(コニゼーション)と呼びます。円錐切除が検査だけでなく治療になることもあります。

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A.5 子宮体癌の精密検査とは?
回答

子宮鏡(子宮の中をのぞく内視鏡)を使ったヒステロスコピーという検査で観察し、子宮内膜組織を採取し組織診断します。経膣超音波断層検査の子宮内膜所見も有用です。

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A.6 子宮癌の治療は?
回答

年齢、子宮癌の進み方、組織の型などをよく考え、その人に最も適した治療スケジュールを考えます。

子宮頸癌では、手術、放射線治療が主体です。化学療法を併用することもあります。

子宮体癌では、手術、放射線治療、化学療法、ホルモン療法などがあります。

これらの治療に免疫療法を追加する場合もあります。

当院では、阪大病院、京大病院での治療をお勧めします。

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【13.】子宮筋腫
A.1 子宮筋腫とは?
回答

子宮にできる白くて硬いこぶで平滑筋由来の良性腫瘍です。子宮の外側、内側、筋肉の中などにできます。大きさは1cm以下の小さなものから10cm以上の大きなものまで様々で、単発性のものも多発性のものもあります。

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A.2 子宮筋腫の症状は?
回答

まず、月経の量が多い(過多月経)、期間が長い(過長月経)、不正出血があるなどです。多量の出血が続くと貧血になります。慢性貧血により心臓に負担がかかり、筋腫心臓と呼ばれる状態になることもあります。

また、大きくなった子宮が膀胱や直腸、骨盤神経を圧迫するために頻尿や便秘、下腹部痛、腰痛になったり、筋腫の中が変性、感染を起こして痛くなったりすることもあります。不妊症や不育症の原因になることもあります。

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A.3 治療が必要な子宮筋腫は?
回答

小さな筋腫で、症状がない、貧血もない場合は治療する必要はありません。治療が必要なものは、

1)症状が強いもの(特に高度貧血)。

2)妊娠、分娩希望で不妊症、不育症の原因と考えられるもの。

3)良性の子宮筋腫以外が疑われるもの(子宮体癌や子宮肉腫など)。

などです。

閉経後は、筋腫が大きくならずに、縮小することが多いので、年齢も重要です。

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A.4 子宮筋腫の検査は?
回答

内診と超音波検査および貧血チェックのための血液検査をまず行います。

子宮筋腫と考えられるが、子宮体癌や子宮肉腫などの悪性病変、あるいは卵巣腫瘍も疑われる場合は、MRI検査、CT検査、子宮内膜細胞診、子宮鏡、腫瘍マーカー検査などを行います。

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A.5 子宮筋腫の治療は?
回答

薬物療法と手術療法があります。最近、子宮動脈塞栓術を行う施設も増えてきました。

薬物療法(偽閉経療法)は、閉経期のホルモン状態をつくり、筋腫を縮小し、症状を改善させる目的で短期的にのみ行います。この治療は行うのは、以下のような場合です。

1)閉経間近で、子宮筋腫がそれほど大きくない場合。

2)手術までの貧血改善を目的として用いる場合。

3)筋腫を小さくして開腹せずに、膣式に手術する場合。

4)合併症があり手術が危険な場合。

手術療法には

1)腹式(開腹して)子宮摘出。

2)膣式(開腹しないで腟から)子宮摘出。

3)腹腔鏡下膣式(腹腔鏡を補助的に使用して膣から)子宮摘出。

4)子宮筋腫核出術(妊娠希望がある場合、筋腫だけを摘出して子宮を残す手術)。

5)子宮鏡下筋腫摘出術(子宮鏡で観察しながら膣式に粘膜下筋腫だけを摘出する手術)。

などがあります。

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【14.】子宮腺筋症
A.1 子宮腺筋症とは?
回答

子宮内膜類似の組織が子宮の筋層に存在し、結果として子宮が大きくなったものです。かつては内性子宮内膜症と呼ばれていましたが、子宮内膜症とは病因、病態などが異なり、現在は子宮内膜症とは区別されています。

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A.2 子宮腺筋症の診断は?
回答

診断は内診、超音波断層検査が主体ですが、子宮筋腫その他と鑑別するために、MRI検査、CT検査が有用です。

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A.3 子宮腺筋症の症状、治療法は?子宮筋腫との違いは?
回答

子宮筋腫と子宮腺筋症は、病因は全く異なり、前者は良性腫瘍、後者は類腫瘍として扱われます。しかし、子宮が大きくなった所見、症状、治療法はよく似ています。

子宮筋腫と違って、子宮腺筋症の場合は比較的均一に子宮が大きくなり、子宮摘出はしても、腺筋症の部分だけを切除するような手術は普通しません。

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【15.】子宮内膜症
A.1 子宮内膜症とは?
回答

子宮内膜に類似した組織が子宮内腔、子宮筋層以外で発生、発育するもので、病巣は主に骨盤内です。これらの場所にも月経と同様の変化が起こるため、骨盤の中に慢性の癒着が起こります。卵巣の子宮内膜症では卵巣の中に月経血のようなチョコレート状の血液がたまります(チョコレート嚢腫)。

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A.2 子宮内膜症の症状は?
回答

最も多いのは、激しい月経痛、月経時以外にもある慢性の下腹部痛、腰痛です。

性交時の痛み、排便時の痛みを認めることもあります。

妊娠希望しているが、なかなかできない不妊の方もあります。

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A.3 子宮内膜症の診断は?
回答

子宮内膜症の進行した場合は、内診と超音波断層検査だけでも診断されることがあります。子宮が動かない(骨盤内が癒着している)、子宮の裏側に押すと痛いしこりがある、卵巣のチョコレート嚢腫を認めるなどです。しかし、程度が軽い方では内診で異常のない場合もあります。

症状、内診、超音波断層検査から子宮内膜症が考えられるときには、MRIやCT検査をしたり、血液検査でCA125というマーカーの値が高くなっていないかをみたりします。以上の検査で診断されたものを臨床子宮内膜症と呼びます。

腹腔鏡や開腹手術で骨盤の中を直接観察して、確定診断します。

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A.4 子宮内膜症の治療は?
回答

薬物療法と手術療法があります。

薬物療法は、閉経期のホルモン状態をつくり、月経を止める薬を使います。内服薬、点鼻薬、注射薬があります。治療は最低3〜4ヶ月、通常6ヶ月程度行います。治療後2ヶ月でたいてい効果が現れますが、治療終了後1年半位までの間に再発することがよくあります。

手術療法は、薬物療法の効果が低い場合、不妊の治療として行う場合、進行した子宮内膜症の場合などに行います。腹腔鏡手術と開腹手術があります。

病巣を切除する、焼く、蒸散する、癒着剥離するなどして子宮、卵巣を残す保存的手術と、妊娠を希望しない場合の根治手術(子宮と両側卵巣摘出) があります。

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A.5 月経痛がひどければ子宮内膜症か?
回答

子宮内膜症という病気は非常に有名になりすぎたために、月経痛があればそれだけで子宮内膜症と診断され、治療される場合があります(過剰診断、過剰治療)。逆に症状がない場合に偶然に発見されることも多いといえます(過少評価)。診断はそれほど容易ではなく、治療を受ける場合も注意が必要です。

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【16.】卵巣腫瘍(嚢腫)
A.1 卵巣腫瘍とは?
回答

卵巣に腫瘍が発生する頻度は100人の女性のうち5〜7人という報告があります。極めて多種多彩な腫瘍が発生し、良性、境界悪性、悪性があります。また、他の臓器の癌転移を卵巣に起こす場合もあります。

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A.2 卵巣腫瘍の症状は?
回答

小さいものは無症状のものが多く、検診や妊娠の診察時に偶然発見されることがあります。腫瘍が大きくなると、下腹部痛、下腹部膨満感、下腹部腫瘤自覚などが症状として現れます。子宮癌検診の際に、卵巣の異常の有無も確認されたほうが良いでしょう。

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A.3 卵巣腫瘍の診断は?
回答

診断、治療の流れを例示します。

問診:下腹部痛、下腹部膨満感、下腹部腫瘤自覚などの有無

腹部の触診、腹部超音波断層検査

内診、経腟的超音波断層検査

腫瘍マーカー検査(血液検査)

 ↓

良性→直径6cm以下の場合→3〜6ヶ月ごとに経過観察

→直径7cm以上の場合→手術

悪性の疑い→CTやMRI検査、胃内視鏡など→手術

上記で良性と判断され経過観察されるのは、おおむね以下の場合です。

(2.や3.のタイプは非常に稀に悪性の場合があります。)

1.腫瘍が明らかに単純嚢胞である。

2.子宮内膜症によるチョコレート嚢腫であると考えられる。

3.皮様嚢腫という腫瘍が考えられる。

直径6cm以下の良性腫瘍であると判断されても、手術が必要な場合。

・卵巣腫瘍が茎捻転して痛みがある場合。

・子宮内膜症によるもので、不妊症治療目的に手術が必要な場合。

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A.4 良性卵巣腫瘍(卵巣嚢腫)の治療は?
回答

チョコレート嚢腫の場合は、子宮内膜症の薬物療法を行う場合があります。

その他の良性卵巣腫瘍の治療は通常、手術療法になります。(腹腔鏡手術と開腹手術があります。)卵巣腫瘍部分のみ摘出(正常卵巣部分は残す)、卵巣摘除術、附属器(卵巣と卵管)摘除術を選択して行います。

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A.5 卵巣癌(悪性卵巣腫瘍)、境界悪性卵巣腫瘍の治療は?
回答

これらの卵巣腫瘍は非常に多彩なので、その組織型、進行の程度に合った治療方法を選択します。手術療法と化学療法をうまく組み合わせることが重要です。

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【17.】不妊症
A.1 妊娠したいが、なかなかできない。
回答

通常の性生活を営んでいて、特に避妊せず、2年間妊娠しない場合を不妊症と呼んでいます。1年間で90%のカップルが妊娠しますから、妊娠したい場合は、2年間またずに検査を受け、必要であれば治療を始めても良いのではないでしょうか。

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A.2 不妊症の検査は?
回答

卵巣からの排卵、卵管での卵と精子の受精、子宮内膜への着床が妊娠成立のために必要です。
最も基本的な検査は、1)排卵しているか、2)卵管は通っているか、3)男性の精子所見に異常はないかを調べるもので、基礎体温測定、卵管検査、精液検査の3つです。

他に、排卵因子:ホルモン検査(LH、FSH、プロラクチン、TSH、エストラジオール、テストステロンなど)、超音波検査(卵胞計測)、頸管粘液検査、子宮因子:超音波検査(子宮内膜観察)、ホルモン検査(プロゲステロンなど)、両性適合性検査:性交後検査(Huhner検査)、抗精子抗体、その他検査:クラミジア検査、膣分泌物培養検査などが当院外来でも施行されます。

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A.3 不妊症の治療は?
回答

検査で不妊の原因が見つけられればその治療をします。

排卵因子:クロミフェン療法、HMG-HCG療法、高プロラクチン血症治療など。
卵管因子:当院では卵管通気、通水法を行います。(体外受精の適応になる場合があります。)
子宮因子:黄体機能不全の治療。(子宮筋腫などで手術が必要な場合は、信頼のおける施設を紹介いたします。)
その他:クラミジア治療、子宮内膜症治療など。
男性因子:漢方治療など。(必要であれば泌尿器科を紹介いたします。)

通常検査で異常を認めない場合はステップアップ治療を行います。

1)タイミング指導
排卵直前に夫婦生活が行われるようにタイミング合わせをします。
超音波検査での卵胞計測や尿中LH検査などでタイミング指導をします。この治療の目安は半年から1年です。

2)AIH:人工授精
ピュアセプションという分離液を使用して、精液から雑菌を取り除いて洗浄しながら、元気な精子だけを濃縮した後、直接子宮腔内に注入する方法です。この治療の目安は8回です。

3)IVF-ET:体外受精
それでも妊娠に至らない場合は、当院と連携医療機関が協力して体外受精を施行します。
ご希望があれば、不妊専門クリニック、大学病院不妊専門外来などを紹介します。

精神的、肉体的、経済的、時間的に負担の少ない治療から始めてみて、しばらくはその治療を続けてみましょう。それでも妊娠にいたらなければ、そのステップの治療では解決できない理由があると考えて、もうワンステップ上の治療に移ってみます。できるだけ早く、でも先をあせりすぎないで、一緒に妊娠成立までの道を歩んでいきましょう。

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【18.】避妊法
A.1 避妊方法について。
回答

コンドーム、女性用コンドーム、ペッサリー、殺精子薬剤、オギノ式、子宮内避妊器具(IUD)、経口避妊薬(ピル、OC)、卵管結紮術、男性精管結紮術(パイプカット)などが考えられます。

当院では、低容量ピル、子宮内避妊器具(IUD)が避妊効果も高く、また元の状態に戻せるので推奨しています。

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A.2 経口避妊薬(ピル、OC)とは?
回答

日本では1999年にようやく使用認可されました。そのほとんどはエストロゲンとプロゲステロンの合剤です。ヨーロッパでは妊娠する可能性のある女性の3分の1が使用していますが、日本ではホルモン剤に対する抵抗感もあるのか、あまり普及していません。

その長所は、避妊効果が非常に高いこと、使用法が簡単なこと、女性のみの意思で実行可能なこと、月経痛が緩和されるなどの副効用があることなどです。

短所は、服用がわずらわしいと感じる人があること、授乳時には飲みにくいこと、自費で比較的高価なこと、軽減されたとはいえ副作用があることなどです。

ヘビースモーカー、乳癌、婦人科癌、血栓症、肝機能障害、高血圧などの人は服用しない方がよい場合があります。

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A.3 子宮内避妊器具(IUD)とは?
回答

子宮の中に挿入、留置して、妊娠を防ぐ器具のことです。受精卵の子宮内膜への着床を防ぐと考えられています。

長所は、効果が比較的高いこと、安全性、継続性があること、女性のみの意思で実行可能なこと、全身的な影響が少ないことなどです。

短所は、自然脱出がありうること、妊娠の可能性が0ではないこと、不正出血の可能性があることなどです。

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A.4 緊急避妊ピルとは?
回答

EC(Emergency Contraception)、ECP(EC Pill)、モーニングアフターピルなどとも呼ばれます。

無防備な性交後72時間以内にレボノルゲストレル錠1.5mg 「F」を1錠服用します。完全に妊娠を阻止することはできません。

従来の中用量ピルを用いたYuzpe法に比べて、1)1回服用であり、2)悪心・嘔吐などの副作用が少なく、3)避妊効果も概して高いと考えられます。

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【19.】人工妊娠中絶手術
A.1 人工妊娠中絶手術について。
回答

当院における人工妊娠中絶手術について説明します。

1)手術当日の準備と注意事項
1.手術当日は朝から絶食で、来院してください。
2.持参していただく物
同意書(本人と配偶者または妊娠の相手の署名と捺印が必要)、費用、生理ショーツ、夜用ナプキン2、3枚、スカート
3.来院されたら外来受付に同意書と費用をお渡しください。(手術後、お薬を渡す時に精算いたします。)
4.シャワーは手術当日から、入浴は出血が無くなってからにしてください。

2)手術当日の流れ
1.本人の確認、同意書の確認、術前検査の確認
2.内診、超音波断層検査後、手術終了まで呼吸循環状態のモニタリングを施行
3.静脈麻酔
4.子宮頸管(子宮の入口)の開大処置と子宮内の妊娠内容物を手動真空吸引法(MVA)で取り除く手術 (手術に要する時間はおよそ3分から10分です。)
5.術後の超音波断層検査チェック
6.子宮内容物の確認
7.麻酔が覚めるまで、安静を保つ。

3)手術に伴う直接障害
1.子宮頸管裂傷
初めての妊娠やお産の経験がない方は頸管が硬いために手術で頸管が傷つくことがあります。
あらかじめ手術前日にラミナリアによる子宮頸管開大処置をする場合があります。
2.多量出血・子宮収縮不良・子宮内容遺残・感染
細心の注意をして手術を行っても、子宮収縮不良のために出血が増えること、少量の子宮内容や血液が子宮内に残ることがあります。また、手術後に出血が持続すること、下腹部痛・発熱などの症状がでることがあります。
3.妊娠継続
多胎、子宮の形態異常、子宮内外同時妊娠などのために、極めてまれに、手術後も妊娠が継続する場合があります。
手術後は必ず指定された日に診察を受けてください。

4)手術に伴う後遺障害
手術と手術直後に異常がなくてもまれにその後の後遺症(月経異常・子宮外妊娠・不妊症・習慣流産・次回分娩時の障害など)が残ることがあります。この手術は決して安易に行う手術ではありませんので慎重に考えてください。

5)入院を要する緊急事態の可能性について
子宮がもろいために傷がついたり、子宮の収縮が不良で出血が多いなどの手術中の緊急事態が発生した場合、最良の方法で対処します。また、子宮内容の検査の結果により、手術後に追加の治療が必要な異常妊娠の場合もあります。このような場合、できるだけ早くご本人と配偶者(パートナー)に連絡しますので、必ず同意書に記入してください。

6)手術後の診察
手術1週間後に必ず受診してください。
1週間以内でも多量出血、強い下腹部痛、発熱がある場合は必ず当院を受診してください。
手術後2週間たっても、出血、下腹部痛が続く場合、術後1ヶ月半以上経過しても次回月経が来ない場合は必ず当院を受診してください。

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【20.】妊娠初期の異常
A.1 妊娠の診断はいつできる?
回答

最近の妊娠診断キットは感度が良いので、妊娠3週終わり(予定月経が来る前)に陽性になります。

経膣超音波検査で子宮内に胎嚢(赤ちゃんが入る袋)が認められるのは妊娠4週です。妊娠5週の終わりか6週初めには赤ちゃんの心拍が見えます。妊娠8週から10週頃に赤ちゃんの大きさを測り、最終月経から計算した週数・分娩予定日と実際の週数・予定日がずれている場合は修正します。

ここで決定された予定日は妊娠経過中変更することは通常ありません。なお妊娠2週0日が排卵日です。基礎体温を測定されている場合は、高温相が2週間以上続けば、妊娠している可能性が考えられます。産婦人科受診は高温相が3週間以上続いた頃が良いのではないでしょうか。

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A.2 つわりについて。
回答

つわりは妊娠5週頃から始まることが多いです。その程度にはかなり個人差があり、けろっとしている人もいれば、治療が必要な重症妊娠悪阻の人もいます。お産までずっと続くわけではなく、妊娠12週(妊娠4ヶ月)になると、ずいぶんましになります。非常に重症でも妊娠16週までにつわりがなくなるのが普通です。ただし、妊娠中はつわりの時期を過ぎてもむねやけ、はきけ、胃のもたれなどの消化器症状がよくでます。

食事も水分も全然とれない場合はいわゆる栄養失調、脱水状態になります。尿検査でケトン体がたくさん出る場合は点滴治療が必要です。点滴内容は水分、電解質、糖分(アミノ酸)、ビタミンB、C、プリンペランというお薬などです。

胃がからっぽのときにつわりがひどい場合が多いので、食事は何回にも分けて少量でよいので食べられる物を食べる、水分だけでもとるようにしてください。

つわりがひどくても、赤ちゃんはしっかり育っていくものです。

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A.3 妊娠初期の下腹部痛について。
回答

妊娠初期に軽い下腹部の痛みや不快感を認めることはよくあります。軽度で出血などがない場合は問題ない場合が多いです。少し休んでみて、痛みがおさまるかどうかみてください。

出血を伴う、痛みがどんどん強くなるときは流産の可能性がありますので、診察を受けた方がよいでしょう。

また、診察で子宮外妊娠や卵巣嚢腫、虫垂炎(盲腸)などでないことを確認しておきましょう。

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A.4 妊娠初期の不正出血について。
回答

妊娠初期に少量の出血を認めることは、正常に赤ちゃんが育っていく場合でもあります。一方、月経のときの量以上に出血を認めるときは診察を受けるべきです。

出血があるときに子宮収縮をおさえるお薬、止血剤などを出す場合があります。しかし、流産の原因のほとんどは胎児の異常ですので、いくらお薬を使っても流産の予防にはなりません。少々出血があっても妊娠8週まで赤ちゃんが順調に育てば95〜99%の確率で妊娠の予後は良好です。

妊娠初期の不正出血を認める原因として、流産、胞状奇胎、子宮外妊娠のほかに子宮入口のびらんやポリープなどもあります。

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A.5 妊娠中のセックスについて。
回答

一般的には妊娠中に性交渉をしても問題ないといわれています。(無理な姿勢はとらない方がよいでしょう。)しかし、不正出血や下腹部痛があるとき、医師に安静を指示されているときはひかえた方がよいでしょう。

性交渉により子宮の中に病原体が入って流産や早産を引き起こす可能性があります。コンドームを使用した方がよいかも知れません。

また乳頭を刺激すると子宮が収縮することがあります。

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A.6 子宮外妊娠・頸管妊娠とは?
回答

受精卵が子宮の中(子宮内腔)以外の場所に着床する妊娠を子宮外妊娠といいます。自然妊娠の場合、98%は卵管に着床する卵管妊娠です。(他には卵巣妊娠、腹膜妊娠があります。)

子宮体部ではなく、子宮頸管内に着床する場合は頸管妊娠といい、これも異常妊娠です。

子宮内外同時妊娠は、自然妊娠の場合は30,000分の1の確率(極めてまれ)でしか起こりませんが、体外受精などの生殖補助治療後には1000分の1の確率で起こると報告されていますので注意が必要です。

診断は問診、超音波断層検査、尿妊娠反応が重要です。

子宮外妊娠の症状は不正出血と下腹部痛といわれていますが、初期の場合はこれらの症状を認めないこともあります。

治療は、腹腔鏡か開腹手術で受精卵の着床部分(多くは卵管)を摘出する根治手術、保存手術、薬物療法(プロスタグランジン、メソトレキセートなど)などがあります。

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A.7 胞状奇胎とは?
回答

専門的には、卵と精子の受精の際の異常で発生する絨毛間質の水腫化と考えられています。

症状は不正出血、ひどいつわりなどですが、初期にはこのような症状を伴わないことがあります。

典型的な場合は、超音波断層検査で子宮内に多数の嚢胞が観察され、尿中HCGが高値を示し、診断されます。

治療は普通、子宮内容除去術ですが、術後管理(HCG値の推移、基礎体温、肺などへの転移の有無など)が必要です。子宮摘出術、化学療法が必要な場合もあります。

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A.8 妊娠中のお薬について。
回答

妊娠4週(月経順調な人ならば予定月経のころ)になるまでに服用したお薬は安全です(体内に残留しやすいものを除いて)。正確にいうと、月経周期が28日型の人で月経初日から33日目(妊娠4週4日)ぐらいまでは安全です。サリドマイドの教訓が役立っています。

妊娠4週5日から8週になるまで(妊娠2ヶ月)は催奇形性という面では絶対過敏期となります。

妊娠8週から16週になるまで(妊娠3〜4ヶ月)は胎児の重要器官の形成は終わっていますが、性器の分化や口蓋の形成などはまだ続いているので、薬剤の服用はなお慎重であった方がよいでしょう。

妊娠16週以降(妊娠5ヶ月以降)は催奇形性ということではなく、胎児の発育・発達の抑制、子宮内胎児死亡、胎児血液循環への影響などが問題になってきます。

妊娠中のお薬について極端にこわがる必要はありませんが、必要ない場合は服用しない、本当に必要な場合は安全なお薬を最小限だけ服用することが大事でしょう。

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A.9 妊娠中の放射線検査について。
回答

放射線による催奇形性は原爆の被爆者のデータによって調べられています。妊娠4週から8週になるまで(妊娠2ヶ月)に放射線を浴びると胎児奇形が起こる可能性がありますが、実際には妊娠8週から16週になるまで(妊娠3〜4ヶ月)が最も危険です。この時期に多量の放射線を浴びると胎児に小頭症や精神発達遅延を起こす危険があります。

しかしながら、診断のために行った放射線検査によって胎児に奇形を起こすことはまずありません。ですから、胸部や腹部のレントゲン撮影を受けたからといって(あるいはCT検査や胃の透視などでさえ)、一般的には妊娠中絶する必要はありません。

妊娠中の方、妊娠している可能性のある方は、避けられるのであれば放射線検査を受けない方がよいでしょうし、本当に必要ならば受けられたらよいでしょう。

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【21.】妊娠中期・後期の異常
A.1 妊娠中の便秘について。
回答

決まった時間に排便する習慣を身につけましょう。朝食後、腸管の動きが活発になったときに排便するのが理想的です。便意があるのに我慢することは避けましょう。

食事は、繊維分の多いものを摂りましょう。繊維は大腸の中で便中の水分を保持する役目があります。

冷たいお水も腸の動きを活発にします。

それでも便秘のときは、当院ではマグラックス(酸化マグネシウム)やラキソベロン(液体の薬)などを処方します。

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A.2 妊娠中の痔について。
回答

妊娠中は静脈のうったい、肛門周囲組織のゆるみにより、いぼ痔、脱肛などになりやすいです。

食物繊維、水分の摂取につとめて、便秘にならないことが大切です。また、お腹を冷やさないように、入浴によりよくあたたまるようにしましょう。

必要なら、痔の軟膏や坐薬を処方します。

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A.3 妊娠中のかぜについて。
回答

妊娠中にかぜをひくことはよくあります。ウイルスが原因のことが多く、抗生物質を飲むのは細菌感染が疑われる場合のみです。

かぜは1週間以内に改善するので、安静、保温、保湿、水分補給など行いながらの対症療法になります。当院では、葛根湯、麦門冬湯、PL顆粒、メジコンなどを使います。解熱剤としてはカロナール(アセトアミノフェン)、抗ヒスタミン剤ではポララミン(クロルフェニラミン)が安全でしょう。

普通のかぜで、赤ちゃんに悪い影響を与えることはありません。

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A.4 妊娠中の胃もたれ、むねやけ、げっぷについて。
回答

つわりの時期を過ぎても、妊娠中は消化器症状がよく現れます。

子宮が胃を圧迫したり、胃の内容物が食道に逆流したりすることによります。脂肪の多い食事をひかえる、一度に大食しないなどに気をつけましょう。

制酸剤、胃の防御因子増強剤、消化酵素剤をだすこともあります。

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A.5 妊娠中のどうき、いきぎれ、立ちくらみについて。
回答

もともと呼吸器や循環器の病気を持っていない人でも、循環血液量の増加、妊娠子宮の圧迫による横隔膜の挙上、ホルモンの変化などによりどうき、いきぎれ、立ちくらみが起こります。これに加えて鉄欠乏性貧血が起こるとさらに症状がひどくなります。

良質のたんぱく質、鉄分、ビタミンなどを多く含む食品、つまり卵、肉類、レバー、魚介類、豆腐、納豆、緑黄色野菜、海草などを上手に取り入れましょう。

あまり症状がひどいときは、血液検査、心電図検査、胸部レントゲン検査などを受けた方が良い場合もあります。

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A.6 妊娠中の腰痛、恥骨痛、足のつけ根の痛みについて。
回答

妊娠中期・後期に体重の増加、背骨の後ろへの湾曲、骨盤のゆるみ、大きくなった子宮による坐骨神経圧迫などにより起こります。出産後1ヶ月程度でよくなることが多いですが、妊娠中はマタニティー・ヨーガ、腰痛相談を施行していますのでご利用ください。

湿布薬で痛みが軽減する場合もあります。ただし、特に妊娠後期に痛み止めの入った湿布薬を使用すると、胎児の血液循環に悪影響を与える場合があります。

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A.7 手のしびれ、足のけいれんについて。
回答

どちらも朝に起こりやすい症状です。

手のしびれは、むくみによる神経の圧迫、ビタミン不足などが原因になります。食事でビタミンを十分摂る、塩分は摂りすぎないことに注意してください。適度な運動も必要です。

足(ふくらはぎ)がつるのもよくある症状です。カルシウム、ビタミンを十分とること、適度に運動することを心がけましょう。

以上のことに注意しても、症状が続いたり、悪化したりする場合は医師に相談しましょう。

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A.8 妊娠中期・後期の不正出血について。
回答

子宮膣部びらん、子宮頸管ポリープなどによる出血も考えられますが、注意すべき病態として、切迫早産、子宮頸管無力症、前置胎盤、常位胎盤早期剥離などが考えられます。正期産の「おしるし」産徴以外の妊娠中期・後期の不正出血は必ず診察を受けた方がよいでしょう。この際、周期的か持続的なお腹の張り、痛み(子宮収縮)の有無、胎動の有無、一般状態などをお伝えください。診察では、膣鏡診、内診による出血の状態、子宮口の開き具合、子宮頸部の短縮(展退)の度合い、経膣超音波検査での子宮頸管の観察、前置胎盤の有無、経腹的超音波検査での胎盤、胎児、羊水、お腹の中の出血の有無、監視装置での胎児心拍、子宮収縮の観察などが重要です。必要であれば、破水の有無、感染の有無なども調べます。

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A.9 妊娠中期・後期のお腹の張り、痛みについて。
回答

妊娠中期・後期にお腹の張りを認めても問題ない場合もあります。一般的に、出血を認めない、陣痛のように周期的でない、強い痛みを伴わない、安静にすることでおさまる程度のお腹の張りは経過観察でよいことが多いです。

しかし、出血を伴う場合、陣痛のような周期的な痛みがあるときは切迫早産を、持続的な痛みがあるときは常位胎盤早期剥離を疑って診察を受ける方がよいでしょう。

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A.10 頸管無力症について。
回答

子宮の入口(赤ちゃんにとっては出口)にあたる、外子宮口から内子宮口までを子宮頸管といいます。お産してもよい時期(妊娠37週以降)までは、ふつう子宮頸管は閉じています。

しかし、お腹の張りや痛みがないのにこの部分が開きやすく、流産や早産になってしまう場合を頸管無力症といいます。

内診や経膣超音波検査で子宮口の開大や子宮頸管長の測定をして診断されます。

治療は子宮口をくくる頸管縫縮術になります。以前の妊娠で頸管無力症が疑われる場合はあらかじめ妊娠初期に予防的頸管縫縮術を施行します。

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A.11 早産・切迫早産について。
回答

早産とは妊娠22週から妊娠36週までの分娩をいいます。

切迫早産とは子宮収縮、子宮頸管の開大や短縮(展退)を認め、早産となる可能性がある状態です。

症状としては、お腹の張り、痛み、不正出血、前期破水などがあげられます。

切迫早産の場合は多くは入院管理となり、安静、子宮収縮抑制剤の点滴、感染があればその治療などを行います。

早産、新生児管理の必要性が予想される場合は、胎児・新生児と母体の両方の管理ができる施設に母体搬送することが必要です。

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A.12 妊娠中に尿糖が出る、血糖値が高い。
回答

妊娠中の耐糖能の異常は、もともと糖尿病が存在した場合と妊娠時に発生したか初めて認められた妊娠糖尿病(GDM)の2種類があります。

このうちGDMの問題点は、周産期合併症の頻度が上昇すること、将来高率に糖尿病が発生することがあげられます。周産期合併症には、児の先天形態異常、巨大児、巨大児に伴う分娩障害、胎児死亡、新生児低血糖症などが考えられます。

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A.13 妊娠中毒症について。
回答

妊娠中毒症とはもともと胎盤からの毒性物質による妊娠中の病的状態を意味していました。その後、妊娠20週以降から産褥6週以内に高血圧、蛋白尿、浮腫の一つ以上の症状が認められるものとされました。現在は世界的にはPIH(妊娠によって発生した高血圧)、EPH-Gestosis(浮腫、蛋白尿、高血圧の症状が認められる妊娠中の病態)などと呼ばれています。妊娠中毒症という用語が不適切であること、3症状のうち高血圧が最も重要であることから、将来は妊娠中毒症に変わる用語が考えられるでしょう。

さて、妊娠中毒症は定期的な妊婦健診によって早期発見、早期管理が出来るようになってからは重症なものが少なくなりましたが、現在でも妊婦さん、医療サイドとも注意するべき病態であることには変わりありません。健診の際、必ず血圧測定、尿たんぱく、むくみ(浮腫)、体重の変化などを確認します。重症な場合、胎児発育が遅れている場合、早発型などは入院管理が必要となります。

妊娠中毒症の予防として、軽度の運動、規則正しい生活、妊娠中の適切な体重増加、塩分摂取を1日10mg以下にする、たんぱく質摂取量は理想体重x 1.2〜1.4g/日、動物性脂肪、糖分は摂りすぎない、ビタミン、カルシウムは十分摂るなどが考えられます。

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A.14 常位胎盤早期剥離について。
回答

胎盤は赤ちゃんが生まれてから剥がれるのが普通ですが、胎児娩出前に子宮壁から正常位置の胎盤が剥離することを常位胎盤早期剥離(早剥)といいます。母児ともに非常に危険な状態です。

妊娠中毒症、胎児奇形、重症子宮内胎児発育遅延、早剥の既往、感染、喫煙などがリスク因子にあげられます。

診断は、臨床症状、胎児心拍、超音波検査、血液検査などからされます。

分娩後に判明する軽症のものを除いて、緊急帝王切開術が必要なことが多く、母体救命のために子宮摘出を行わざるを得ない時もあります。

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A.15 前置胎盤について。
回答

胎盤が内子宮口にかかる状態で、妊娠中後期の出血の原因になります。診断には超音波断層検査、特に経膣超音波が有用です。

出血を認める場合は入院管理が必要で、分娩様式は通常帝王切開になります。

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A.16 羊水過多症・羊水過少症
回答

妊娠後半期は羊水産生の大部分を胎児尿が占め、羊水吸収は胎児の嚥下や各所での吸収によって行われます。

羊水過多症は、胎児消化管通過障害その他の胎児異常、母体糖尿病などで起こります。羊水過少症は胎児腎尿路系の異常などによって起こります。原因を解明し、可能であれば対処することが重要です。

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【22.】産褥期(産後)の異常
A.1 産後いつまでも悪露が多いときは?
回答

子宮の収縮が悪い状態である子宮復古不全が疑われます。子宮の収縮が悪いと胎盤剥離面の血管からいつまでも出血し、かつ子宮内膜の戻りが遅れ、悪露が多い状態が続きます。細菌感染も起こりやすくなります。

子宮の戻りが悪い場合は、超音波断層検査で胎盤、卵膜、血液などが子宮内に無いか調べ、必要があれば子宮内容を除去します。この他、子宮収縮薬を用いたり、直接母乳を積極的に行ったりすることにより子宮収縮を促します。感染徴候がある場合はその治療も行います。

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A.2 お産後に発熱したときは?
回答

産褥熱(A3.参照)、乳腺炎(A4.参照)、尿路感染症、上気道炎(かぜ)などが考えられます。診察を受けて、原因をはっきりさせてから治療を受けましょう。

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A.3 産褥熱とは?
回答

産褥熱とは分娩終了24時間以降、10日以内に2日以上、38℃以上の発熱が続く場合と定義されますが、臨床的には、お産後に起こる骨盤内の感染症のことをいうことが多いです。

原因となるのは、ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、腸球菌などの細菌、クラミジアなどがあります。

治療は可能であれば感染のフォーカスを除去し、最も適切な抗生物質を使用することが肝要です。

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A.4 おっぱいが腫れて痛い、赤い、熱がある。
回答

乳汁がうったいしているだけの場合は、乳管内に滞っている乳汁を適切な授乳、搾乳、乳房マッサージによって取り除きます。

これに対して、乳頭から細菌感染が起こった場合を乳腺炎といいます。いわゆる炎症の四徴である痛み、発赤、腫れ、熱感を認めます。

膿が貯まっていれば排膿し、抗生物質を使用し、乳汁うったいを取り除きます

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A.5 おっぱいの分泌が悪い。
回答

母乳哺育が赤ちゃんとお母さんにとって、理想的な哺育法であることは言うまでもありません。しかしながら、絶対母乳だけで頑張りたいお母さんもいれば、混合哺育を希望する、何らかの理由によりミルクのみの人工哺育を望む方もおられます。入院前、あるいは入院後のアンケートにより、できるだけご希望にそったようにアドバイスできればと思います。

乳汁分泌不全の診断基準として、
産褥3〜4日目になっても、おっぱいが張らない、お乳が出ない。
授乳後3時間以上たってもおっぱいが張らない。
30分以上哺乳しても赤ちゃんが満足しない。
1回哺乳量が15〜20g以下。
などがあげられます。

おっぱいについて、入院中はもちろん、退院後1ヶ月健診まで、1ヶ月健診以後のいつでも、医師、助産師、看護師にご相談ください。

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A.6 お産後ゆううつだ。
回答

マタニティーブルーという言葉は有名ですね。お産後は心身ともに急激な変化がおとずれます。赤ちゃんが生まれた直後は幸せでいっぱいですが、いざ育児が始まると、おっぱいが出ない、赤ちゃんがずっと泣き続ける、赤ちゃんがおとなしすぎる、自分にきちんと赤ちゃんを育てられるのかなど不安でいっぱいになります。その結果、涙もろくなる、なにもかもする気がなくなる、食欲が無い、眠れない、頭が痛いなどの症状が出現することがあります。

こういう症状がお産後には、自分だけでなく、起こりうるものだと知っているだけで、実際に体験しても不安が少なくなります。

また、ご主人や家族の方に分娩や育児に立ち会ってもらったり、赤ちゃんとスキンシップしたりすることで(カンガルーケア、母乳哺育、ベビーマッサージなど)軽減するともいわれています。

マタニティーブルーはふつう一過性で、自然に治りますが、長期間続く場合は専門医に相談しましょう。

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A.7 お産後の生理はいつ始まる?
回答

母乳栄養、混合栄養、人工栄養(ミルク)によって、異なります。

母乳哺育の時は、お産後半年くらいは生理が来ないことが多く、1年たっても無月経である場合もあります。

人工栄養の時は、お産後2〜3ヶ月で最初の生理を認めることが多いです。

混合栄養の時は、この中間と考えてよいでしょう。

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